先月末に大学院を卒業した私ですが、その2日後には別の国に居ました。
その旅先はバヌアツ共和国。ブリスベンから約3時間で着く国です。
ご縁があって阿南市サーフィン連盟のプロジェクトとして、現地の大会への出場、現地視察も兼ねての遠征でした。
今回のプロジェクトでは、経済的、そして地理的にサーフボードの入手が極めて困難なバヌアツにサーフボードを贈り、東京2020やその未来にサーフィンで夢を掴んで欲しい、そんな想いが込められたサーフボード贈呈プロジェクトです。
バヌアツ。私たち「先進国」と呼ばれる場所に居する者たちに本当の豊かさとは何かを考えさせるその国は、ひたすら美しかった。
バヌアツ、プロジェクト、大会、学校訪問、離島、文化、、インプットが多すぎてアウトプットが全く追いついておりません。笑
バヌアツ滞在記は何章か分けて皆さんにレポートさせていただく予定ですので乞うご期待ください!
*
さて、本題に入ります。
タイトルにあります通り、修士論文が一般公開されましたので皆様にご案内させていただきます。
http://repo.lib.tokushima-u.ac.jp/ja/111288 |
________________________________________
【学位論文題目】
サーフィンツーリズムを活かした地域活性化策の課題〜東洋町生見海岸の地域デザインを事例に〜
【URL】http://repo.lib.tokushima-u.ac.jp/ja/111288
【要旨】
1. 目的
近年東洋町では少子高齢化、人口流出、後継者不足など地方中山間地域に共通した問題を抱えており、生見のサーファーのツアー行動特性の理解に基づいた地域振興方策の展開、移住サーファーと住民とのより良い関係構築に向けた具体的方策の検討が求められている。そこで本研究では、東洋町生見サーフィンビーチに訪れるサーファーを対象に、質問紙調査によりサーファーの消費行動および行動モデルの分析(研究1)と来訪頻度の向上、移住・定住の促進など地域活性化のデザインの在り方の提案(研究2)を目的とする。
2. 対象と方法
2016年6月4日(土)〜5日(日)開催の「Billabong Surfing Games2016 AAAグレード東洋町西日本サーフィン選手権大会」に出場する選手、同伴者、観戦者、関係者151名及び2016年9月18日(日)、2016年10月8日(日)の生見サーフィンビーチ来場サーファー227名を対象に質問紙調査を実施した。質問紙調査の結果を踏まえ、「ビジター→リピーター→移住者」という変遷過程を確認するべく、2017年11月に移住者サーファーに対してインタビュー調査を行った。移住以前の生活やライフヒストリーをインタビューから明らかにし、リピーターから移住者への変遷要因と移住の課題を検討した。
3. 結果・考察
研究1では居住地、来場目的及び来場頻度による回答者の特性を検討した。その結果、居住地とアクセスに対する評価との関係は認められたが、来場目的及び頻度頻度と評価との関係は認められなかった。
来場頻度に伴う評価の変化の特徴としては、大会時では波品質、景観、宿泊施設、食事飲食店、土産の評価が上がり、アクセスに対する評価が好転していた。また普通休日時では宿泊施設、食事飲食店の評価が上がっていたことから、波品質や景観など生見特有の資源に対して高く評価しており、評価の低いアクセスや周辺施設などハード面に対する負担感を緩和していると同時に生見滞在における周辺環境の整備がリピーターを増加させるための課題であると推察された。また移住への関心は大会時、休日時ともにビジターよりもリピーターの方が関心が高い傾向があることが示されたことから、ビジター、リピーター、移住者と移行する可能性が示唆された。
研究2ではサーファーの移住では、移住前までは非日常的な経験かつ特別であったサーフィンに対する価値が変化すると考えられた。またサーファーとの経験が、サーフィンと地域との関係性に影響を与えている傾向があり、安定した生活ができる見通しの有無が移住実行の決定に影響を与えていることが明らかとなった。
4.
結論
生見サーフィンビーチに訪れるサーファーの基本属性や評価と居住地、来場頻度との関連を検討することにより交流人口増加に向けて生見滞在における周辺環境の整備がリピーターを増加させるための課題であることが明らかになった。そしてリピーターから移住者に変遷する過程で具体的な移住後の想定イメージを移住検討者に提案することが重要であることが示唆された。
________________________________________
生見サーフィンビーチを主な対象地とする本研究では大会と休日に訪れるサーファー、移住者サーファーに対して調査をし、基本属性や生見滞在に対する評価、移住に向けた課題を明らかにしました。
サーフィンを用いた地域活性化に向けた調査の結果と移住に向けた提言、課題が内容となっています。
サーフィンによる地域活性化を多地域で現実化させることは、今後サーフィンを正しく普及させる道に必ず付随するものだと思います。
今後サーフィンに関する研究活動が様々な場面でなされること、サーフィン学を深めること、教育的活動の中にもサーフィンがより良くなるチャンスと希望があることを私は研究活動を通して実感しました。
今後この論文を通して各地域においてサーフィンで町を元気にできる可能性を知っていただくこと、
そして地域活性化におけるサーフィンの可能性を広める媒体となることを心より願っています。
またこの先サーフィンを学問として研究としてより深めたいと思う学生が一人でも多く出てくること、
そして前途有望な彼らの研究をより良くするためにこの論文の一部だけでも参考にしてもらえることがあったなら、それほど幸福なことはありません。
未来への期待、それが今回論文を一般公開した大きな所以です。
足りないところも多い研究ではありますが、数字は事実です。
それらを今後のサーフィン発展のために誰か未来に目を向け進む人の参考になればと思い、今回公開手続きをしました。
全ての研究において過去の研究は新たな発見や定義の血となり肉となります。
そうやって人間は成功と失敗を現在進行形で繰り返しながら一進一退しながら道を拓いてきたとすると、サーフィン業界における新たな領域としてアカデミックな視点が必要とされてもいいのではないかなと私は思います。
それがどんなにニッチなものだとしても、私はそのような知的好奇心が大きな一歩への原動力になるような気がしています。
この研究を終えて改めて思うことは、知的好奇心は人生のスパイスだということ。
知らないことを知る面白さを教えてくれた先生方と自身の学生時代に感謝です。
この論文が多くの人に届き、議論を生み、そしてサーフィンの未来を信じ考える次世代のサーフィン研究が生まれていきますように。
ではJPSA第1戦のために今からバリへ行ってきます!!
minami.
論文を拝見させていただきました。地域活性化のために
返信削除ご尽力いただき、ありがとうございます。
徳島県南の町に生まれ育ったものです。サーファーの方が
沢山週末、休日にこの地の海にやってこられます。
ほとんどの方は、車で宿泊されています。また帰られたあと、
車が止まっていた周囲には、ビールや飲み物のあき缶、ペットボトル、たばこの吸い殻、あき箱が沢山落ちております。私は育った町が汚れるのがつらく、ゴミを拾っておりますので、つらく受け止めております。
このGW後には、おおきなゴミ袋が数枚一杯になるほど何日か
かけてゴミをひろいました。一人では拾いきれませんがサーファーの方がよく歩かれる海沿いの道はたばこの吸い殻をひろって歩くと、一歩ごと拾うくらいに たばこが落ちております。
サーファーがくると町がゴミでよごれるというのは まちがいだと町外からいらした どこかの大学の先生が講演でおっしゃていましたが、ゴミを拾っている私には、実感としてサーファーの方が多くいらした休日の後などは、ゴミ拾いが
とても大変です。残念んですが、ゴミを捨てて帰られるサーファーの方が多いというのが実情です。サーファーで町おこしを
というのは良いアイデアかもしれませんが、こんなにゴミが増えるのでは このまま推進すべき事だろうかと疑問におもいます。
マナーの良いサーファーの方も多いとは思います。が現状は
ゴミをまとめていれたレジ袋をそのまま駐車場の脇の草むらに
投げ捨てて帰ったり、ウエットスーツの修復に使うスプレー缶を
投げ捨てて帰ったりするマナーをわきまえていない方もいるようです。マナーを守っていただき、きれいな海、町を保つご協力をいただく良い知恵はないものでしょうか? もちろん、町の人間にも
たばこの吸い殻、ゴミを平気で捨てる人もいるので、全部がサーファーの方の捨てたゴミだとは申しません。だた、海の周辺は
サーファーの方が沢山捨てていかれるという事です。実態を知っていただきたく、またなにかよい方法がないものかと思い
投稿させていただきました。
はじめまして。
削除この度は貴重なご意見をお聞かせいただき誠にありがとうございます。
サーファーが多く訪れる徳島県南地域の現状は、お住まいの方が正負関わらずその影響を最も受けられていることと思います。
私も県南地域でサーフィンをさせていただいている立場として、美しい海岸やその付近を汚す行為は言語道断であり、そのような実態があることが本当に残念だと感じています。
今回私はサーフィンを用いた地域活性化を研究しましたが、サーフィンが地域にもたらす正の効果は、地域の理解、そしてサーファーの地域に対する謙虚な歩み寄りがなければ無いに等しいと考えています。
今後サーフィンを受け入れてもらえるよう良識を持って取り組むことが私たちサーファーの最低限のマナーです。私たちも声を掛けあって、地域に貢献できる存在になれるよう尽力して参ります。